資格を取ればプログラマーになれるのか？

資格証書

結論からいうと、未経験者にIT資格は必要ないと私は考えています。

未経験で資格を活かせるケースは、新卒で大手SIerなどに就職活動する場合に限られるのではと思います。

中途採用などで、業界未経験の方がIT業界に転職しようと考えたとき、やはり経験の無さや業務をこなせるかの不安から「まず資格を取得してから就職活動を行おう」と考えることが多いかと思います。

この判断は真っ当な考え方かと思いますが、面接時に「プログラマーとして今後戦力になりうることを証明する資格」をIT業界未経験者（大学や専門学校で勉強した場合は除く）が取得するのは非常に骨の折れる作業です。

よほどの素質が無い限り、1〜2ヶ月の勉強では取れないでしょう。かつ、試験は年に数回しかありませんから、1度落ちてしまうと半年間が無駄になります。

私の考えとしては、その時間を就職活動やプログラマーではないにせよ、実際に何かしらのIT関連の仕事で経験を積んだほうが有効と考えています。

また「プログラマーとして今後戦力になりうることを証明する資格」以外にも様々な資格がありますが、その人の付加価値につながる様な上級レベルの資格に未経験者が挑戦するのはこれもまた極めて非効率な作業です。

一方で、業務経験が無くても取得可能な初級の資格はやはりそれなりの価値しかありません。

厳しい言い方かも知れませんが、その資格を取得するために高額な費用を掛けて学校に通うのも時間とお金の浪費です。

IT系の資格は、俗にいう業務独占資格ではありませんから、資格所有者であろうとなかろうと、面接に通れば、働くことができます。

資格学校などに通い、資格を取得することが、就職につながるとすれば、それは、取得した資格の力と言うよりは、学校側と受け入れ側企業の関係に因るところが大きいでしょう。

結局、苦労して資格を取得しても、就職を約束するものではない訳です。

経験者にとってもIT系の資格はアレな物です…

IT業界経験者にとっても、IT系の資格は、「足の裏についた米粒」(気にはなるけど、取っても食えない)と表現されることすらあります。

そうです、経験者ですら、取得しても職にはつながらないのです。そのことを頭の片隅に置いておいて下さい。

実際に資格が要求されるシーンは、例えば、昇進するための条件として、保有資格が定められている場合などが考えられます。

また、ステップアップのために、自分のスキルを見える形にしたいという、自己が持つ経験をより強固するための道具として使われる場合も多いと思います。

ですから、IT業界未経験の方は、「資格があれば…」という幻想に惑わされずに、何かの経験を積めるよう積極的に動くことをオススメします。もしかすると、IT業界は肌に合わないと気づくかもしれませんから。

その後、続けてゆく決心がついたら、自分の目指す方向へのキャリアアップにつながる資格を検討するほうがより効率的です。その場合であれば資格は強力に働くと私は思います。

未経験の状態で資格の勉強をいくらやっても、業務へ結びつけるイメージもわきませんから何の役にも立ちません。私が経験した、そんな一例を紹介します。

ある時、とある派遣会社から、LPIC Lv1を取得している未経験者３名が私の下にきたことがありました。

マシンのセットアップが一通り終わった後、その3名の方に「あそこにあるサーバマシンのIPアドレスはXXX.XXX.XXX.XXXで、ユーザとパスワードはこれこれなのですが、ご自分のマシンからSSHでログインできますか？」と尋ねた時、3名とも出来ませんでした。

せっかく勉強したのに、実際の使用するシーンに勉強の内容が結びついていないんだなと痛感した一瞬でした。

決して、LPICのLv1が無駄だと言っている訳ではなくて、未経験の状態で資格取得に精を出しても非効率であると言うことの一例です。

LPICを例にすれば、IT業界未経験でうちの会社に入り、3ヶ月位たったあと、LPIC Lv1のテキストと過去問を渡したら、翌々週には試験に受かっていた人もいます。
（私のいた会社ではLPIC Lv1取得者に対して、資格手当が出ていました。私は少額だったので、取りませんでしたが…）

未経験者向けLPIC講座にいくら掛かるのかわかりませんが、給料を貰いながら1〜2週間で取得できるほうがよいのは、火を見るより明らかなことだと思います。

もし、資格を取るとしたら何を取得するのだろう？そう思い、私なりに考えてみました。こちらもどうぞご覧ください。